少し前に「名もなき家事」というのが流行ったものだ。
「ゴミ出し」やら「掃除・洗濯」やら「食器洗い」といったわかりやすいネーミングの家事ではないものの、細々してなんだかんだ手間のかかる「名前すら与えられてない家事」のことだ。
例えると、食後にテーブルを拭く、シャンプーの詰め替えをする、箱ティッシュが空になったので取り換える、といったおおよそ他人には「●●してます!」と声高に言えないような、でも何気に手間がかかるもの。
こういった雑務を積み上げると、「名前が与えられた家事」と匹敵するくらいの仕事量があり、「名前が与えられた家事」の一部のみ担当してる主にオヤジ達と、「名もなき家事」もこなす女性陣の間で認識ギャップが起こる。
「仕事も同じではないか?」とふと思うときがある。
印象的に派手な仕事もあれば、それを支える地味な仕事もある。かっこいい販売戦略に昇華するには、現実のオペレーションに悩みつつ、それを否定して未来志向しつつ、新たな仮説設を裏付ける地味な分析作業や、追加のグループインタビューなどを行う中で悶絶していくものだ。
結構たいへんなグループインタビューの段取りをしつつ、インタビューの場ではどこの馬の骨ともわからない若者の発言に一喜一憂し、「彼がほんとに世の中を代表してるのか?いやしてるはずだ!」と自問しながら、地味な集計作業の後工程にもいそしむ。
最終的にその発表者は別の人だったりして、たいして苦労もしてない人が知ったような顔をして自分の功績のように豪華絢爛なプレゼン発表を決め込んだりする。
良い悪いの話を言ってるのではない。
ただそんな一見地味な仕事には「名もなき戦略」と名付けておきたい。
地味な仕事に自ら名前を付け、その仕事の重要性について自分だけでも認識しておこう。言語化しておこう。言いたいのは、「自分が何かやってることは、最終的にビジネスのためになってるんだ」という励みのみが、本来的に自分を突き動かし、目の前の業務に極めて高い集中を持って臨む根源だとういうことだ。
ポイントは「他人からの励まし」ではなく、「自分で自分を励ます」ということだ。
ヤッキース・ドットソンの法則
マウスに電気ショックを与えて、それがパフォーマンスにどう影響したかを測った実証実験だ。
結果としては、一定量の「電気=ストレス」を与えたマウスのパフォーマンスは上がったらしい。つまり、賞罰や緊張、プレッシャーなどからくるストレスは、仕事にマイナスなのではなくパフォーマンスが向上するトリガーになり得るということだ。
ビジネスへの応用は簡単だ。何かしらのストレスを感じたときには「気持ちいい~!おれはパフォーマンスが上がってる~!」と叫べばいい。
こうやってストレスとパフォーマンスを脳内でリンクすることで、ストレス自体を味方にできるわけだ。
マウスの電気ショック+レバー実験
これは同じ電気ショックでも、目の前にレバーを置きそのレバーを引くと電気が流れる仕組みにしてるマウスと、レバーを隠していきなり電気ショックを与えられるマウスとで、どんな有意な差が出るかを見た実証実験だ。
「レバーの仕組みを知ってるマウス」はストレスレベルが非常に低く、「仕組みを知らないマウス」はかなりストレスが高かった。つまり、「コントロールできる」という感覚を持つだけでストレスの影響は消えるということを示唆している。
このビジネスの応用としては、「誰かに気持ちを話す」ということだ。
人間はおもしろいもので、「話しをする」という行為から自然と「頭の中を整理されていく」状態となり、この「整理された状態」は「コントロールできる状態」と認識するようになるのだ。実際にコントロールできるかどうかは関係ない。「コントロール感」だけで十分なのだ。
だから「失恋の話を友達にしたらすっきりした」なんて事象はまさにこれに該当する。
自分は「意味があると思いつつ」も「地味な仕事」に、ちょっとした名前を付けることから始めるだけで、愛着と自信がついてくる。