ピラミッドの頂点しか要らない

「給与」という人質。その人質を取られてることによる苦しい滅私奉公。

実際、古い会社には「保守的すぎて話にならない」と感じる慣習が多かったりするのではないだろうか。

何のための朝礼?何のための夕礼?何のためのレポート?意図不明な慣習が漠然と受け継がれつつ、それにいちいち抵抗して会社から睨まれるのもなんなので、普通の社員は「まぁ、この場は合わせておけばよいか。」と従順に従うものだ。そうやって無自覚・無感覚に慣習をこなすしてくうちにその慣習が刷り込まれていき、漠然と「まぁ、朝になったら朝礼じゃね?」という人間に変わっていったりするのだろう。

こうやって無思考にサラリーマン時代を過ごしていくと、さしたる知識のアップデートもせず「まぁ、適当に受け流すか」といった態度をとる、出世競争に敗れた40代以降のおっさんに仕上がる可能性は極めて高い。

どの職場にでも「終わってんなぁ」と思う人がたくさんいるだろう。ただ、彼らは決して初期のころから終わっていたわけではなく、たっぷり時間をかけて熟成されたきた結果なわけだ。ここに習慣の強力さ・怖さがある。

でも、これは彼らのせいではないのかもしれない。決して不真面目なわけでもなく、寧ろ真面目な人間なのだろう。

「個」を捨て「組織」に尽くしてきた結果、生み出されてしまった悲しい存在なのだ。反旗を翻すようなガッツなどもともと持ち合わせてはおらず、もう組織にしがみつく以外に選択肢はないと自己認識してしまう。

「会社が守ってくれないなら、自分の身は自分で守るしかない」といったことはよく言われるが、これは「会社の都合を守り通しても、それに対して組織が報いてくれるわけではない」という暗黙の前提となる。

例えば、トヨタに何名か友人がいるのだが、彼らはこぞって「トヨタはいい会社だ。人にやさしい。」と言うのだがこれは本当だろうか?

2019年10月13日。日本自動車工業会の会長会見で、トヨタ自動車の豊田社長が「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べていた。

一方で、トヨタの人事からのコメントでこんなのがあるらしい。

「花よりも花を咲かせる土になれ。この言葉を胸に、一生懸命、会社と社員の幸せのために頑張ってください。」

これ、完全に二枚舌もいいところじゃね??

「会社には骨をうずめなさい」ということを綺麗に表現しつつ、一方で「もう終身雇用は無理だ」と言ってたりするのだ。おそらくトヨタの人事は二枚舌だということすら気づいてないだろう。この時点で、相当な「隠れブラック企業」と感じてしまう。

系統図法

品質管理の手法の1つで古くからあるもので系統図表というのがある。非常に単純な内容なのだが実務思考としてはとても有効であるし、視点を変えると面白い考え方に発展すると思っている。

系統図表というのは、目的と手段を多段階的に書き記していく手法だ。と言っても何を言ってるかわかりにくいので絵で説明すると、

目的 → 手段

     ↓

     目的 → 手段

という感じで、「当初の目的」を設定した後に、それを達成する「手段」を考える。次にその「手段」を「目的」と捉えなおして、それを達成する「手段」を考える。

といった具合に、具体的な実施内容を深堀していく思考法だ。トヨタの「なぜなぜ5回」と近い感じかもしれない。

今のキャリアは目的なのか?手段なのか?

系統図法は具体的な「手段」を探り当てる考え方だが、キャリア形成に関しては逆のアプローチがいいだろう。つまり、「そもそも働く目的はなんだっけ?」ということを自問していき、その答えに更に上位概念の目的を設定するのだ。

仮に自分が何かの営業をやってる人間だとしよう。

目的:自分が売り込んだもので取引先企業のオペレーションが効率化されて感謝される

これをより目線の高い目線に昇華したらどうなるか?

目的:相手先企業の効率化を考えると、他社の商品と組み合わせたパッケージの方がより喜ばれる

となるかもしれない。続けて、さらに高次に一般化したらどういう言い方になるだろうか?

目的:付加価値を付けた何かを提供することで、人を幸せにできるコンサルを行う

といった具合に、今の自分にとっては目線の高すぎると感じるくらいに抽象化してみてはどうだろうか。つまり、無理やり上位に目標を設定してみようということだ。

これは書いてみた後の方が大事。

「いったい自分はどのレベルの仕事をしているのか?」

ということを自問してみることだ。

目先の仕事で疲弊していたり、つまらなかったりするときは、たいてい低い目的感を持ちつつ現実の組織圧力とのかけ合わせで悩んでる場合が多いと思う。

「こんなに頑張ってるのに上司は全く評価してくれない。」

といった具合だ。

こういう時は視点を上の目標からスタートしよう。ただし、何も崇高なことをしろと言ってるのではない。あくまで「視点を変える」ことが重要なのだ。視点が変わると思考が変わる。単純に気分転換になるかもしれないし、結果として違うやり方や進むべき道が見えてくるかもしれない。

目的を上位に設定すると、それを達成する手段は1つではないことに気づく。むしろ多様な手段があることに気づく。

今目の前にある「手段」「手法」「作業」に埋没してるときは、意図的に上目線に立って「ほんとは何がしたいんだっけ?」と考えるだけで気分が軽くなることもある。そういう思考の遊びをする時があってもいい。自然と世の中には他にもオプションも存在していることに気づくこと。「オプションを持ってる状態」は自我を持ち、心理的安全性を持つことに直結する。メンタル安定化の常套手段だ。

人を幸せにするのが目的を描いたサラリーマンが、3年後には「お花屋さん」を営んでる可能性もあるわけだ。あくまで手段の1つとして。

今の自分の周囲で起きてることをゴミ溜めのように感じてる人もいるかもしれないが、もイチイチそんなことにまともに対峙してはいけない。

みんな「ピラミッドの頂点しか要らない」という気楽な気概を持つと、少しだけ心が楽になる。

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